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天井クレーン
サスペンション式天井クレーンの導入事例:限られた空間を最大限に活用する工夫
長年お付き合いのあるお客様より、新ラボ建設に伴うクレーン設備の導入をご依頼いただき、サスペンション式天井クレーンを4基新設しました。50年来の信頼関係をもとに、お客様のニーズに最適なクレーンを設計・施工しました。
今回は、サスペンション式天井クレーンの特徴や今回の導入仕様、工夫したポイントについて詳しくご紹介します。
サスペンション式天井クレーンとは?
サスペンション式天井クレーンは、天井に設置された走行レールにぶら下がる(懸垂する)形で走行するタイプのクレーンです。一般的な天井クレーンはガーター(クレーン本体または主桁または横行レール)が走行レールの上に乗る構造ですが、サスペンション式では走行レールの下側にぶら下がる形になります。
この方式の最大のメリットは、工場や作業場のスペースを有効に活用できることです。特に横行方向(工場の幅方向)において、ガーターが走行レールの外側に張り出すため、その分のスペースを有効に使えます。つまり、作業範囲を最大化しながら、限られた工場空間を効率的に活用できるのです。

研究開発用クレーンに求められる仕様とは?
今回導入したクレーンは、研究開発用として使用されるため、繊細な操作が可能な仕様にする必要がありました。そのため、操作方式には無線操縦装置を採用し、さらに低速操作が可能な2段仕様としています。
特に研究開発の現場では、重量物を慎重に扱う必要があるため、低速スピードの微調整機能が重要になります。今回の導入では、現場のニーズに合わせて細かく速度調整を実施し、より安全で操作しやすいクレーンを実現しました。

また、最近ではオールインバーター制御方式を採用するユーザーが増えており、リスク管理の観点からも、インバーター制御+無線装置の組み合わせがマストになりつつあります。インバーター制御により、スムーズな加減速や高精度な速度調整が可能になり、作業の安全性と効率を向上させることができます。


特殊仕様でさらなる利便性と安全性を実現
今回の導入では、通常のクレーンと比較して特別な仕様を採用しています。
1.特殊揚程仕様:巻上高さ7mH強
一般的なクレーンの最大揚程(吊り上げ高さ)は6mHですが、今回は7mH強の仕様を採用しました。これにより、作業空間の高さを最大限に活用でき、より柔軟な運用が可能になっています。
2.2基のクレーンを連携させる工夫
今回のクレーンは、吊荷を2基のクレーンで運用することを考慮し、フック間の距離をできるだけ縮める工夫を施しました。具体的には、車輪間の短いサドルを選定し、走行緩衝調整装置を製作。また、クレーンの向きを正逆に配置することで、より小さな吊荷も吊り上げることが可能になりました。
3.安全対策の強化
クレーン間の衝突を防ぐために、走行速度の微速調整及びクレーン間の衝突時の速度を微速仕様に設定する安全対策を実施しています。
さらに、走行レールを天井いっぱいに敷設し、3次元的に作業範囲を最大限活用できるよう設計しました。またレールの撓みも考慮し、適格荷重時にも揺れを最小限に抑えた構造にしました。これにより、安定した運用が可能になり、作業のしやすさが向上しています。

限られたスペースに最適なクレーンを
今回導入したサスペンション式天井クレーンは、コンパクトな工場や研究施設に最適な仕様となっています。
- スペース効率が高く、限られた空間を有効活用できる
- 無線操縦装置+低速2段速仕様で精密な操作が可能
- 特殊揚程仕様や安全対策により、より安全でスムーズな作業を実現
サスペンション式天井クレーンは、空間を最大限に活かしながら、安全性と操作性を両立させることができる優れたクレーンです。特に、省スペース設計を求める企業にとって、非常に有用な選択肢ではないでしょうか?
今後も、お客様のニーズに合わせた最適なクレーン設計を提供していきます!
提供:東海バネ工業株式会社様