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天井クレーン
天井クレーンをもっと使いやすく~走行インバーター化のメリット~
はじめに
最近天井クレーンの走行をインバーター化する動きが増えてきていますね。その理由を考えてみましょう。
荷振れが良くない理由
代表者さん、工場長さんは、天井クレーンでの材料の搬入搬出時に大きな重量物を吊り上げて走行する時、大きく荷が揺れながら吊荷が振り子のように揺れながら走っていく姿を工場などの現場でよく目にしませんか?荷振れが起こるとどのような問題があるのでしょうか。
1.吊荷が停まらない
大きな重量物を吊り上げて走行させると、吊荷が振り子のように揺れることがあります。この状態だと、クレーンの停止操作をしても吊荷が停止位置を超えてしまい、クレーンを引っ張ることがあります。これは非常に危険ですよね。
2.ワイヤーロープの乱巻き防止
荷振れのある状態で巻上操作を行うとワイヤーロープを収納するドラムの溝にワイヤーロープを綺麗に巻き取れず、乱巻きになってしまいます。乱巻きが発生すると、ワイヤーロープが損傷し、交換が必要になってしまいます。
※走行しながら巻き上げ操作をするのは本当は禁止なんですけどね
3.巻上下の動作不良
荷振れがある状態で巻上部まで巻上操作を行うと、巻きすぎを防止する安全装置レバーが正常に作動せず、巻きすぎ状態になってしまうことがあります。この場合、2段目の緊急安全装置まで作動させてしまうため、修理が必要となり修理が終わるまでクレーンが使用できなくなり大変ですね。
4.ドラムとホイスト本体へのダメージ
さらにひどい場合、ワイヤーロープがドラムとホイスト本体のケーシング内部に巻き込まれることがあります。最悪の場合、ドラム周りを分解する必要があり、大変な修繕作業になってしまいます。
5.騒音と振動の発生
天井クレーンの動作に伴う揺れや振動、停止音、衝撃音が事務所や近隣に伝わり、問題となることがあります。


インバーター制御のメリット
上記のような事態をインバーター制御により、大きく抑制することができます。
1.滑らかな速度制御
間接制御(電磁接触器による制御)だと、ブレーキ時にガツンと衝撃がかかるため、停止時に大きく荷振れするので危険ですね。しかし、インバーターは周波数による電圧抑制により走行速度を1/10から標準速度まで滑らかに制御できるため、荷振れを大きく抑えられます。この制御のおかげで、スタートと停止が滑らかになります。
2.建屋の揺れや振動が少なくなる
滑らかな動きにより、クレーンの動作で揺れていた建物の揺れや振動が少なくなるか、場合によっては完全になくなることもあります。
3.ブレーキが長持ちする
走行停止時にガツンとブレーキが掛かることがなく、ほぼ停止状態でブレーキが掛かるので、ブレーキが長持ちします。例えると、自動車のエンジンブレーキのように、減速してほぼ止まった状態でブレーキを軽く踏む感覚と同じですね。
4.衝撃が和らぐ
近接制御装置と組み合わせることで、クレーン同士やストッパーとの衝撃も緩和できます。
おわりに
インバーター制御にはたくさんの利点がありますが、インバーターは半導体の塊なので故障抑制のために定期的な点検の実施が必要です。
インバーター化は天井クレーン作業をより安全で使いやすくするための優れた方法です。天井クレーンのインバーター化を検討することで、安全性や効率性が大幅にアップします。ぜひ一度、導入を検討してみてはいかがでしょうか。